N²(kyundesu)へ12の質問 1stアルバム『iDANCE2MUSIC』が示す「きゅん」の現在地

N²〈きゅんです〉へのインタビュー、12の質問

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NordOst / Hiroto Matsushima

DJ/プロデューサーとして国内外で活動し、パーティーシリーズ〈きゅんです〉を主宰するN²が、1stアルバム『iDANCE2MUSIC』を10月28日にリリース。10月30日には渋谷clubasiaで、アルバムリリースパーティー〈YAGIKYUN HALLOWEEN PARTY 2026〉の開催も控える。今回deepcutsでは、N²へのメールインタビューを実施。DJとしての原点から〈きゅんです〉の成り立ち、アルバム制作の裏側まで、12の質問を投げかけた。



パーティーシリーズ〈きゅんです〉のCEOとして日本のクラブシーンにポジティブな新風を吹き込みつつ、SUMMER SONICやULTRA JAPANといった大型フェスへの出演、Diploとの共演なども経験してきたスターDJ・N²。

そんな彼女が、約7年間のDJキャリアで培ったダンスフロアの感覚を自身の楽曲へと落とし込んだ1stアルバム『iDANCE2MUSIC』を発表。アーティストとしての実像をより確かなものにしながら、新たな地平へ華々しくも粛々と突き進む。

客演にRUI(f5ve)、MANON、CHICHIを迎え、ハードダンス、ハイパーポップ、トランス、ベースミュージックなどを融合。疾走感のあるビートとキャッチーなフック、遊び心のあるリリックを軸に、クラブでの高揚感とポップミュージックの親しみやすさを両立させた作品として世に放たれた。

なかでもRUIとのコラボレーション楽曲「cloud9」は、RUIにとってf5ve以外での初リリースとなる注目曲。ほかにもMANONとの高速ハードダンス楽曲「KATSEYE」など、個性の異なる楽曲が並ぶ。歌詞のテーマは恋愛、友情、自己肯定感、デジタル疲れなどさまざま。現代ならではの悩みや瑞々しい青春を通して、大人になっていく一人のパーティーガールの姿が映し出されている。

 

そこで今回は、1stアルバム『iDANCE2MUSIC』について深掘りしつつ、N²/〈きゅんです〉の足跡をたどる12の質問を実施。キラキラしたイメージとは裏腹に、彼女のDJやパーティーへの姿勢は実にストイック。そして、キャリアを通じてアーティストとしても一人の人間としても、確かな成長が感じられる回答を得られた。

リリース直後、そして〈YAGIKYUN〉の開催も迫る今だからこその、一番フレッシュな生の声。ぜひチェックを!


Q1. カリフォルニア育ちというバックボーンがありますよね。音楽体験の原点も含めて、まずは自身のルーツを教えてください!

N²:幼い頃、母が家でEnyaや宇多田ヒカル、BoAなどをよく流していたのを覚えています。4〜5歳頃からはRihanna、Black Eyed Peas、Britney Spears、Ne-Yoなどに夢中になりました。

小学3年生の時、RihannaやSoulja Boy、Natasha Bedingfield、Ne-Yoなどが出演する〈BOO BOMB〉で初めてライブを体験したのは、今でも忘れられない思い出です! 同じ頃に出会った親友がMy Chemical Romanceの大ファンだったことをきっかけに、10代の頃はバンド音楽にも深く影響を受けました。

12歳でカリフォルニアから日本へ帰国した当初は日本語があまり得意ではなかったのですが、Twitterを通じて音楽の趣味が合う友達と出会い、一緒にライブに行くようになりました。正直、学校生活はあまり楽しくはなかったけど、音楽のおかげですごく充実した10代を過ごせたと思います。

幼い頃から英語がわかったことで、幅広いジャンルの音楽や歌詞に自然と共感できたし、日本に帰ってからも音楽が人とのつながりを作ってくれた。そういった経験が、今の自分の音楽的なルーツになっていると思います!



Q2. DJデビューはどんなパーティーでしたか? そもそもDJを志したきっかけは?

N²:DJデビューは六本木にあった「1 OAK TOKYO」で。金曜深夜1時〜2時の枠を任せてもらったのですが、緊張しすぎて「タワー・オブ・テラーの頂上から落ちる直前」みたいな気分だったのを今でも覚えてます(笑)。

大学時代はバンド活動をしていたんですが、メンバー全員が10歳ほど年上で、時間やお金の感覚に違いがあって。メンバーは毎日でもスタジオに入りたいけど、私は大学とインターン、アルバイトの両立で精一杯で、なかなか思うように活動できず。それでも音楽は続けたかったので、誰かのスケジュールに左右されず自分のペースで活動できる方法を探すうちに、DJに興味を持ちました。

そんな中、東京で開催されたKehlaniのライブで、のちに私のマネージャーとなる人と出会ったことがきっかけで、DJとしてのキャリアが本格的に始まりました。



Q3. 〈きゅんです〉はどんな思いからスタートしたパーティーですか? 立ち上げた理由やエピソードを聞かせてください。

N²:DJを始めた頃、自分が本当にかけたい音楽を自由にプレイできるイベントになかなか出演できず、もどかしさを感じていたんです。

当時はHARLEM、WOMB、VISION、ageHa、Contact、BATICAや新宿二丁目エリアなど、ジャンルもカルチャーも異なるさまざまなパーティーに遊びに行っていたのですが、どのシーンにも完全には馴染みきれない感覚があって。

「きっと自分と同じように感じている人は他にもいるはず」と思い、それぞれのシーンで自分が好きな部分を組み合わせて〈きゅんです〉を立ち上げました。今では、それが間違っていなかったと自信を持って言えます。

〈きゅんです〉は単なるパーティーではなく、自分が魅力的だと思う東京のアンダーグラウンドカルチャーの要素が詰まった、誰もが自分らしくいられるコミュニティであり、安心できる居場所になったと思います!



Q4. 〈きゅんです〉とN²としての活動を続けていく中で、ズバリ一番大切にしていることは?

N²:一番大切にしているのは「自分の価値観と感性を信じる」こと。自分の価値観を他人に押し付けなくても、自分らしく活動を続けていれば、自然と同じような価値観を持つ人たちが集まってくる。今はそう実感しています。

活動を続ける中で、「ビッグになるためには何かを犠牲にしなければいけないのかな?」と感じる瞬間もありました。でも、近道を選んで成功するより、「これが自分!」と胸を張って言えることをコツコツ積み重ねて、少しずつ結果を残していく方が私には合っているんだと思います。

一瞬のバズよりも、長くこのカルチャーを支え、シーンにとって必要不可欠な存在になりたい。自分が作ってきたものが次の世代にも影響を与えられるような、そんなレガシーを残せたら理想ですね。

とにかく、常に新しいことに挑戦し続けたいです。数年後には自分のアパレルブランドやクラブを持っているかもしれないし、そう考えるとこれからがすごく楽しみ。自分の好きなものを大切にし続けていれば、いつか大きな波がやってくると信じています



Q5. 海外でのギグやデビューEP『RAVE ANGEL』のリリースなど、キャリアの過程でいくつもの転機があったと思います。なかでも一番感動した体験や出来事は?
 

N²:真っ先に思い浮かぶのは、今年4月に福岡でDJをした時のことかな。自分の曲をかけたら、お客さんが英語のリリックまで覚えて一緒に歌ってくれて。リリースを始めてまだ間もなかったし、福岡には友達もほとんどいなかったので、本当に感動しました。

去年のSUMMER SONIC出演も夢のような経験でした! 中高生の頃は毎年、お昼ご飯代を節約してチケットを買っていたので、まさか自分があのステージに立つ日が来るなんて……今でも不思議な気持ちです。

海外ではパリでのギグが印象的でした。umruとのダブルヘッドライナー公演や、Demna(デムナ・ヴァザリア)の最後のコレクションに合わせたBalenciagaのアフターパーティーなどに出演して。その体験はもちろん、スマホをあまり触らず全身で音楽を楽しむパリのお客さんたちの熱量に感動しました。

楽曲制作を始めて、MVや作品のコンセプトなど、DJだけでは表現しきれなかったアイデアを形にできるようになったのも、自分にとって大きな転機です。



Q6. 大人になるにつれてライフスタイルや価値観はどう変化しましたか? 葛藤や悩みはある?
 

N²:正直、若い頃の方が悩みは多かった気がします。来年3月で30歳になりますが、年齢を重ねるにつれて自信が持てるようになり、少しずつ自分の歩んできた道を肯定できるようになりました。近道や逃げ道を選ばず、地道に努力を続けてきたからこそだと思います。

継続することの大切さも実感しています。私は比較的メンタルを安定させるのが得意な方ですが、それがなければ、DJを始めてからの7年間で今ほど多くのことは実現できていなかったはず。

自分の価値観がはっきりしてきたことで、仕事との向き合い方も変わりました。以前は海外でDJをするためなら何でもする!という気持ちで、ベルリンからの帰りにパリでの乗り継ぎ便が9時間遅延し、羽田に着いてからDJの出番まで50分しかなかったこともありました。でも今は、自宅の快適さを知ってしまって(笑)。

目先のチャンスだけでなく、自分の心と生活を大切にしながら長く音楽を続けられることが、今の私にとっての成功だと思ってますね。


 

Q7. 1stアルバム『iDANCE2MUSIC』について、タイトルや作品の世界観を解説してください。制作はどのようにスタートしていきましたか?

 

N²:『iDANCE2MUSIC』は、今の自分をそのまま詰め込んだような作品です。さまざまなジャンルを取り入れていますが、共通しているのはすべてダンスミュージックであること。

ビジュアル面では、2000年代初期のAppleやiPodの広告からインスピレーションを受けています。音楽に夢中になり始めた頃を思い出させてくれる、あの懐かしい世界観が大好きで、タイトルの小文字の「i」や、踊る自分のシルエットを使ったジャケットにも反映しています。収録曲「iPhone5」のMVも、当時の映像特有の質感を出したくて、全編iPhone 5で撮影しました。

制作のきっかけは、腰の大きな手術で入院していた時に、友人のプロデューサーがビートを送ってくれたこと。病室で歌詞を書き始めて、退院後、思うようにDJができない時間を制作に充てました。今思えば、あの期間があったからこそ生まれた作品だと思います。


 

Q8. 『iDANCE2MUSIC』はハードダンス、トランス、ベースミュージックなど多彩なダンスミュージックが、ポップな感性をもとに融合したかのような作品でした。DJとしてフロアで得てきた感覚を、自分の楽曲に落とし込む上で意識したことは?
 

N²:まずはDJ的な目線で、「自分自身が思わず踊りたくなる音楽」を作ることを意識しました。自分が楽しんで踊っていると、その熱量が自然とフロアにも伝わるんです。

今はクラブでもスマホを持つ人が多く、周りの目を気にせず自由に踊ることが難しくなっている気がします。だからこそ、スマホを置いて、気づいたら体が動いてしまうような曲を作りたくて。

歌詞では、自分の素直な気持ちやいろいろな一面をリアルに表現しています。「Motion」の「Stay with me while I'm in motion, take you somewhere far away」というフレーズは、夢を追いかけていると、どうしても恋愛を最優先にはできないことを表現したもの。決して愛情が少ないわけではなく、「いつか成功して恩返しするから、もう少しだけ待っていてほしい」という、私のちょっとわがままな気持ちを歌いました(笑)。

これは恋人だけでなく、両親や友達、マネージャー、フォトグラファーや映像クリエイターなど一緒に活動する仲間、そして応援してくれるファンのみんなに対しても同じ気持ちです。踊るだけでなく、歌詞にも少しでも共感してもらえたら嬉しいです。

 


Q9. 収録曲「cloud9」は、RUI(f5ve)さんにとってはf5ve以外での初リリース作品のようです。f5veとの関係や、この楽曲が生まれた経緯を教えてください。


N²:RUIちゃんにとってf5ve以外での初リリースを一緒に作れたなんて、本当にラッキーだなと思います! スタジオでの制作も楽しかったし、何回聴いても飽きない、二人ともお気に入りの曲です。「cloud9」は、RUIちゃんといると本当にハッピーで、まさに雲の上にいるような気分になることから生まれました。

f5veとの出会いは数年前。私が入院中、Dorian Electraの来日イベントを病室からオーガナイズしたときに、当時SG5として活動していたメンバーが〈きゅんです〉に遊びに来てくれたんです。その後「Underground」のMVキャスティングや〈きゅんです〉とのコラボを通じて仲良くなりました。

彼女たちのかっこいいところは、メンバーのうち4人がE-girlsとして武道館のような大きなステージを経験してきたのに、自らアンダーグラウンドの現場に飛び込んでいるところ。RUIちゃんには今年1月からDJを教え始めたのですが、今ではロンドンや韓国でもプレイし、umruとのB2Bも大成功。カルチャーをただ取り入れるのではなく、自分自身で体験して吸収している姿が本当にかっこいいし、尊敬しています。

今ではf5veチーム全体が、私にとって家族のような存在です!

 


Q10. MANONさんとの高速ハードダンス楽曲「KATSEYE」、CHICHIさんとの楽曲など、個性豊かな客演陣も本作のポイントですよね。人選のポイントやエピソードについてお聞かせください。


N²:MANONもCHICHIもRUIちゃんも、私にとって大切な親友です。3人に共通しているのは、頻繁に会わなくても、それぞれが頑張っている姿をSNSで見るだけで「私も頑張ろう!」と思えるところ。

MANONとはここ数年、本当にいろんな経験を一緒にしてきました。努力家で、優しくて面白いけど、自分の芯をしっかり持っていて、内面が本当に強い子。感謝してもしきれない存在です。CHICHIはニューヨークを拠点にしているので年に2回くらいしか会えませんが、性格はまるで私の双子みたい(笑)。

コラボも「スタジオ行って何か作ろうよ!」という自然な流れから生まれました。CHICHIとの「#PAYPAYME」は学校のグループ課題みたいな感覚で、アイデアを出し合う時間が本当に楽しかったです。

「KATSEYE」は、グループのKATSEYEのメンバーのManonと間違えて、日本のMANONのMVにたどり着く海外の人が増えていたのがきっかけ。だったらその偶然を逆手に取って、もっと多くの人に彼女の魅力を知ってもらおう!と(笑)。

実際にアルバムのトラックリストを発表した時は、Xで「KATSEYEのMANONがソロデビューするの!?」という投稿が相次いで、予想以上の反響がありました。ちなみに、曲の内容はグループとは全く関係ありません!


 


Q11. 「恋愛」「友情」「自己肯定」「デジタル疲れ」など、楽曲ごとに異なるさまざまなテーマについて歌われています。今回のアルバムで、今の自分が最も表れていると感じる楽曲は?
 

N²:正直、1曲だけ選ぶのは難しいです(笑)。どの曲も自分の違う一面を表現していて、全部が今の私。

イントロの「iDANCE2MUSIC」は、音楽に何度も救われてきた自分の気持ちを、スピーチのように素直に語った曲。「Motion」は、夢を追う中で後回しにしてしまった大切な人たちへの、感謝とちょっとわがままな気持ち。「iPhone5」はふざけた曲に聴こえるけど、実は人付き合いに疲れて「充電切れ」になった自分を表現しています。

「jetlag」は、就職や結婚をしていく学生時代の同級生と、同じ街にいながら違う時間軸を生きている感覚を時差に例えた曲。「#messygirl」はカオスなパーティーガールの自分について歌った曲です。「GIRL'S GIRL」は信頼していた女友達に裏切られた経験から、「JEALOUS」は前の会社を辞める時に理不尽な扱いを受けた経験をきっかけに生まれました。

「cloud9」や「LOVER UNDERCOVER」のように少しメランコリックな感情を描いた曲もあれば、「#PAYPAYME」や「KATSEYE」のように遊び心全開の曲もあります。「KATSEYE」ではMANONが初めてフランス語で歌っていて、意味は全部わからないけど、とにかくかっこいいので聴いてほしいです(笑)。

どれも飾らずに書いたリアルな気持ちなので、全部聴いてもらって初めて今の私が伝わるのかなと思います。

 


Q12. 最後の質問です。ハロウィン直前の10月30日には、〈YAGI〉とのコラボレーションでリリースパーティーも控えています。〈YAGIKYUN〉の見どころと、遊びに来る人へのおすすめの楽しみ方を教えて!

N²:まずはラインナップの幅広さに注目してほしいです! 初出演の方もいれば、LAから来てくれるアーティストもいて、本当にジャンルも世代もバラバラ。フライヤーはちょっと情報量が多いかもしれませんが(笑)、ぜひじっくりチェックしてみてください!

今回ならではの見どころは、〈YAGI〉と〈きゅんです〉のパフォーマー交換かな。普段はレイジくんの時間に出演する「YAGI YOYO TEAM」が私のセットに、私の時間に出演するSunny Bunnyとariseikatsuが、OKAMOTO REIJI、MANON、ececのB2Bタイムに登場します。このクロスオーバーも楽しみにしてほしいです。

今回は私のアルバムのリリースパーティーでもあるので、新曲を交えたDJとライブのハイブリッドセットを披露します。私の出番は深夜2:05から50分間なので、絶対に見逃さないで!



以上が〈きゅんです〉CEO・N²へのインタビュー全文。ギャルマインドなパブリックイメージとは対照的に、まっすぐで竹を割ったような人柄で各所から信頼を得てきた、ピュアな存在であることが改めて伝わってくる内容だった。『iDANCE2MUSIC』は、約7年のキャリアのなかで一夜一夜のフロアに実直に向き合ってきた彼女にとって、新たな門出となる作品なのだろうと思われる。

そんな1stアルバムのリリースパーティー〈YAGIKYUN HALLOWEEN PARTY 2026〉は、今週10月30日(金)にclubasiaで開催。オカモトレイジ(OKAMOTO'S)がキュレーションする〈YAGI〉と〈きゅんです〉がタッグを組み、全3フロアをジャックしてジャンルを横断するフリーキーなハロウィンパーティー。So-So、DNOPF、Sunny Bunny、ecec、RUI(f5ve)らがライブやDJで出演するほか、PUREM1NDによる〈YAGIKYUN〉限定Tシャツの販売も予定されている。ハロウィンにちなんだ仮装での来場も歓迎とのこと。

アルバムはもちろん、〈YAGIKYUN〉ならではのハジケたパーティー感にも期待!




DJ/プロデューサーとして国内外で活動し、パーティーシリーズ〈きゅんです〉を主宰するN²が、1stアルバム『iDANCE2MUSIC』を10月28日にリリース。10月30日には渋谷clubasiaで、アルバムリリースパーティー〈YAGIKYUN HALLOWEEN PARTY 2026〉の開催も控える。今回deepcutsでは、N²へのメールインタビューを実施。DJとしての原点から〈きゅんです〉の成り立ち、アルバム制作の裏側まで、12の質問を投げかけた。



パーティーシリーズ〈きゅんです〉のCEOとして日本のクラブシーンにポジティブな新風を吹き込みつつ、SUMMER SONICやULTRA JAPANといった大型フェスへの出演、Diploとの共演なども経験してきたスターDJ・N²。

そんな彼女が、約7年間のDJキャリアで培ったダンスフロアの感覚を自身の楽曲へと落とし込んだ1stアルバム『iDANCE2MUSIC』を発表。アーティストとしての実像をより確かなものにしながら、新たな地平へ華々しくも粛々と突き進む。

客演にRUI(f5ve)、MANON、CHICHIを迎え、ハードダンス、ハイパーポップ、トランス、ベースミュージックなどを融合。疾走感のあるビートとキャッチーなフック、遊び心のあるリリックを軸に、クラブでの高揚感とポップミュージックの親しみやすさを両立させた作品として世に放たれた。

なかでもRUIとのコラボレーション楽曲「cloud9」は、RUIにとってf5ve以外での初リリースとなる注目曲。ほかにもMANONとの高速ハードダンス楽曲「KATSEYE」など、個性の異なる楽曲が並ぶ。歌詞のテーマは恋愛、友情、自己肯定感、デジタル疲れなどさまざま。現代ならではの悩みや瑞々しい青春を通して、大人になっていく一人のパーティーガールの姿が映し出されている。

 

そこで今回は、1stアルバム『iDANCE2MUSIC』について深掘りしつつ、N²/〈きゅんです〉の足跡をたどる12の質問を実施。キラキラしたイメージとは裏腹に、彼女のDJやパーティーへの姿勢は実にストイック。そして、キャリアを通じてアーティストとしても一人の人間としても、確かな成長が感じられる回答を得られた。

リリース直後、そして〈YAGIKYUN〉の開催も迫る今だからこその、一番フレッシュな生の声。ぜひチェックを!


Q1. カリフォルニア育ちというバックボーンがありますよね。音楽体験の原点も含めて、まずは自身のルーツを教えてください!

N²:幼い頃、母が家でEnyaや宇多田ヒカル、BoAなどをよく流していたのを覚えています。4〜5歳頃からはRihanna、Black Eyed Peas、Britney Spears、Ne-Yoなどに夢中になりました。

小学3年生の時、RihannaやSoulja Boy、Natasha Bedingfield、Ne-Yoなどが出演する〈BOO BOMB〉で初めてライブを体験したのは、今でも忘れられない思い出です! 同じ頃に出会った親友がMy Chemical Romanceの大ファンだったことをきっかけに、10代の頃はバンド音楽にも深く影響を受けました。

12歳でカリフォルニアから日本へ帰国した当初は日本語があまり得意ではなかったのですが、Twitterを通じて音楽の趣味が合う友達と出会い、一緒にライブに行くようになりました。正直、学校生活はあまり楽しくはなかったけど、音楽のおかげですごく充実した10代を過ごせたと思います。

幼い頃から英語がわかったことで、幅広いジャンルの音楽や歌詞に自然と共感できたし、日本に帰ってからも音楽が人とのつながりを作ってくれた。そういった経験が、今の自分の音楽的なルーツになっていると思います!



Q2. DJデビューはどんなパーティーでしたか? そもそもDJを志したきっかけは?

N²:DJデビューは六本木にあった「1 OAK TOKYO」で。金曜深夜1時〜2時の枠を任せてもらったのですが、緊張しすぎて「タワー・オブ・テラーの頂上から落ちる直前」みたいな気分だったのを今でも覚えてます(笑)。

大学時代はバンド活動をしていたんですが、メンバー全員が10歳ほど年上で、時間やお金の感覚に違いがあって。メンバーは毎日でもスタジオに入りたいけど、私は大学とインターン、アルバイトの両立で精一杯で、なかなか思うように活動できず。それでも音楽は続けたかったので、誰かのスケジュールに左右されず自分のペースで活動できる方法を探すうちに、DJに興味を持ちました。

そんな中、東京で開催されたKehlaniのライブで、のちに私のマネージャーとなる人と出会ったことがきっかけで、DJとしてのキャリアが本格的に始まりました。



Q3. 〈きゅんです〉はどんな思いからスタートしたパーティーですか? 立ち上げた理由やエピソードを聞かせてください。

N²:DJを始めた頃、自分が本当にかけたい音楽を自由にプレイできるイベントになかなか出演できず、もどかしさを感じていたんです。

当時はHARLEM、WOMB、VISION、ageHa、Contact、BATICAや新宿二丁目エリアなど、ジャンルもカルチャーも異なるさまざまなパーティーに遊びに行っていたのですが、どのシーンにも完全には馴染みきれない感覚があって。

「きっと自分と同じように感じている人は他にもいるはず」と思い、それぞれのシーンで自分が好きな部分を組み合わせて〈きゅんです〉を立ち上げました。今では、それが間違っていなかったと自信を持って言えます。

〈きゅんです〉は単なるパーティーではなく、自分が魅力的だと思う東京のアンダーグラウンドカルチャーの要素が詰まった、誰もが自分らしくいられるコミュニティであり、安心できる居場所になったと思います!



Q4. 〈きゅんです〉とN²としての活動を続けていく中で、ズバリ一番大切にしていることは?

N²:一番大切にしているのは「自分の価値観と感性を信じる」こと。自分の価値観を他人に押し付けなくても、自分らしく活動を続けていれば、自然と同じような価値観を持つ人たちが集まってくる。今はそう実感しています。

活動を続ける中で、「ビッグになるためには何かを犠牲にしなければいけないのかな?」と感じる瞬間もありました。でも、近道を選んで成功するより、「これが自分!」と胸を張って言えることをコツコツ積み重ねて、少しずつ結果を残していく方が私には合っているんだと思います。

一瞬のバズよりも、長くこのカルチャーを支え、シーンにとって必要不可欠な存在になりたい。自分が作ってきたものが次の世代にも影響を与えられるような、そんなレガシーを残せたら理想ですね。

とにかく、常に新しいことに挑戦し続けたいです。数年後には自分のアパレルブランドやクラブを持っているかもしれないし、そう考えるとこれからがすごく楽しみ。自分の好きなものを大切にし続けていれば、いつか大きな波がやってくると信じています



Q5. 海外でのギグやデビューEP『RAVE ANGEL』のリリースなど、キャリアの過程でいくつもの転機があったと思います。なかでも一番感動した体験や出来事は?
 

N²:真っ先に思い浮かぶのは、今年4月に福岡でDJをした時のことかな。自分の曲をかけたら、お客さんが英語のリリックまで覚えて一緒に歌ってくれて。リリースを始めてまだ間もなかったし、福岡には友達もほとんどいなかったので、本当に感動しました。

去年のSUMMER SONIC出演も夢のような経験でした! 中高生の頃は毎年、お昼ご飯代を節約してチケットを買っていたので、まさか自分があのステージに立つ日が来るなんて……今でも不思議な気持ちです。

海外ではパリでのギグが印象的でした。umruとのダブルヘッドライナー公演や、Demna(デムナ・ヴァザリア)の最後のコレクションに合わせたBalenciagaのアフターパーティーなどに出演して。その体験はもちろん、スマホをあまり触らず全身で音楽を楽しむパリのお客さんたちの熱量に感動しました。

楽曲制作を始めて、MVや作品のコンセプトなど、DJだけでは表現しきれなかったアイデアを形にできるようになったのも、自分にとって大きな転機です。



Q6. 大人になるにつれてライフスタイルや価値観はどう変化しましたか? 葛藤や悩みはある?
 

N²:正直、若い頃の方が悩みは多かった気がします。来年3月で30歳になりますが、年齢を重ねるにつれて自信が持てるようになり、少しずつ自分の歩んできた道を肯定できるようになりました。近道や逃げ道を選ばず、地道に努力を続けてきたからこそだと思います。

継続することの大切さも実感しています。私は比較的メンタルを安定させるのが得意な方ですが、それがなければ、DJを始めてからの7年間で今ほど多くのことは実現できていなかったはず。

自分の価値観がはっきりしてきたことで、仕事との向き合い方も変わりました。以前は海外でDJをするためなら何でもする!という気持ちで、ベルリンからの帰りにパリでの乗り継ぎ便が9時間遅延し、羽田に着いてからDJの出番まで50分しかなかったこともありました。でも今は、自宅の快適さを知ってしまって(笑)。

目先のチャンスだけでなく、自分の心と生活を大切にしながら長く音楽を続けられることが、今の私にとっての成功だと思ってますね。


 

Q7. 1stアルバム『iDANCE2MUSIC』について、タイトルや作品の世界観を解説してください。制作はどのようにスタートしていきましたか?

 

N²:『iDANCE2MUSIC』は、今の自分をそのまま詰め込んだような作品です。さまざまなジャンルを取り入れていますが、共通しているのはすべてダンスミュージックであること。

ビジュアル面では、2000年代初期のAppleやiPodの広告からインスピレーションを受けています。音楽に夢中になり始めた頃を思い出させてくれる、あの懐かしい世界観が大好きで、タイトルの小文字の「i」や、踊る自分のシルエットを使ったジャケットにも反映しています。収録曲「iPhone5」のMVも、当時の映像特有の質感を出したくて、全編iPhone 5で撮影しました。

制作のきっかけは、腰の大きな手術で入院していた時に、友人のプロデューサーがビートを送ってくれたこと。病室で歌詞を書き始めて、退院後、思うようにDJができない時間を制作に充てました。今思えば、あの期間があったからこそ生まれた作品だと思います。


 

Q8. 『iDANCE2MUSIC』はハードダンス、トランス、ベースミュージックなど多彩なダンスミュージックが、ポップな感性をもとに融合したかのような作品でした。DJとしてフロアで得てきた感覚を、自分の楽曲に落とし込む上で意識したことは?
 

N²:まずはDJ的な目線で、「自分自身が思わず踊りたくなる音楽」を作ることを意識しました。自分が楽しんで踊っていると、その熱量が自然とフロアにも伝わるんです。

今はクラブでもスマホを持つ人が多く、周りの目を気にせず自由に踊ることが難しくなっている気がします。だからこそ、スマホを置いて、気づいたら体が動いてしまうような曲を作りたくて。

歌詞では、自分の素直な気持ちやいろいろな一面をリアルに表現しています。「Motion」の「Stay with me while I'm in motion, take you somewhere far away」というフレーズは、夢を追いかけていると、どうしても恋愛を最優先にはできないことを表現したもの。決して愛情が少ないわけではなく、「いつか成功して恩返しするから、もう少しだけ待っていてほしい」という、私のちょっとわがままな気持ちを歌いました(笑)。

これは恋人だけでなく、両親や友達、マネージャー、フォトグラファーや映像クリエイターなど一緒に活動する仲間、そして応援してくれるファンのみんなに対しても同じ気持ちです。踊るだけでなく、歌詞にも少しでも共感してもらえたら嬉しいです。

 


Q9. 収録曲「cloud9」は、RUI(f5ve)さんにとってはf5ve以外での初リリース作品のようです。f5veとの関係や、この楽曲が生まれた経緯を教えてください。


N²:RUIちゃんにとってf5ve以外での初リリースを一緒に作れたなんて、本当にラッキーだなと思います! スタジオでの制作も楽しかったし、何回聴いても飽きない、二人ともお気に入りの曲です。「cloud9」は、RUIちゃんといると本当にハッピーで、まさに雲の上にいるような気分になることから生まれました。

f5veとの出会いは数年前。私が入院中、Dorian Electraの来日イベントを病室からオーガナイズしたときに、当時SG5として活動していたメンバーが〈きゅんです〉に遊びに来てくれたんです。その後「Underground」のMVキャスティングや〈きゅんです〉とのコラボを通じて仲良くなりました。

彼女たちのかっこいいところは、メンバーのうち4人がE-girlsとして武道館のような大きなステージを経験してきたのに、自らアンダーグラウンドの現場に飛び込んでいるところ。RUIちゃんには今年1月からDJを教え始めたのですが、今ではロンドンや韓国でもプレイし、umruとのB2Bも大成功。カルチャーをただ取り入れるのではなく、自分自身で体験して吸収している姿が本当にかっこいいし、尊敬しています。

今ではf5veチーム全体が、私にとって家族のような存在です!

 


Q10. MANONさんとの高速ハードダンス楽曲「KATSEYE」、CHICHIさんとの楽曲など、個性豊かな客演陣も本作のポイントですよね。人選のポイントやエピソードについてお聞かせください。


N²:MANONもCHICHIもRUIちゃんも、私にとって大切な親友です。3人に共通しているのは、頻繁に会わなくても、それぞれが頑張っている姿をSNSで見るだけで「私も頑張ろう!」と思えるところ。

MANONとはここ数年、本当にいろんな経験を一緒にしてきました。努力家で、優しくて面白いけど、自分の芯をしっかり持っていて、内面が本当に強い子。感謝してもしきれない存在です。CHICHIはニューヨークを拠点にしているので年に2回くらいしか会えませんが、性格はまるで私の双子みたい(笑)。

コラボも「スタジオ行って何か作ろうよ!」という自然な流れから生まれました。CHICHIとの「#PAYPAYME」は学校のグループ課題みたいな感覚で、アイデアを出し合う時間が本当に楽しかったです。

「KATSEYE」は、グループのKATSEYEのメンバーのManonと間違えて、日本のMANONのMVにたどり着く海外の人が増えていたのがきっかけ。だったらその偶然を逆手に取って、もっと多くの人に彼女の魅力を知ってもらおう!と(笑)。

実際にアルバムのトラックリストを発表した時は、Xで「KATSEYEのMANONがソロデビューするの!?」という投稿が相次いで、予想以上の反響がありました。ちなみに、曲の内容はグループとは全く関係ありません!


 


Q11. 「恋愛」「友情」「自己肯定」「デジタル疲れ」など、楽曲ごとに異なるさまざまなテーマについて歌われています。今回のアルバムで、今の自分が最も表れていると感じる楽曲は?
 

N²:正直、1曲だけ選ぶのは難しいです(笑)。どの曲も自分の違う一面を表現していて、全部が今の私。

イントロの「iDANCE2MUSIC」は、音楽に何度も救われてきた自分の気持ちを、スピーチのように素直に語った曲。「Motion」は、夢を追う中で後回しにしてしまった大切な人たちへの、感謝とちょっとわがままな気持ち。「iPhone5」はふざけた曲に聴こえるけど、実は人付き合いに疲れて「充電切れ」になった自分を表現しています。

「jetlag」は、就職や結婚をしていく学生時代の同級生と、同じ街にいながら違う時間軸を生きている感覚を時差に例えた曲。「#messygirl」はカオスなパーティーガールの自分について歌った曲です。「GIRL'S GIRL」は信頼していた女友達に裏切られた経験から、「JEALOUS」は前の会社を辞める時に理不尽な扱いを受けた経験をきっかけに生まれました。

「cloud9」や「LOVER UNDERCOVER」のように少しメランコリックな感情を描いた曲もあれば、「#PAYPAYME」や「KATSEYE」のように遊び心全開の曲もあります。「KATSEYE」ではMANONが初めてフランス語で歌っていて、意味は全部わからないけど、とにかくかっこいいので聴いてほしいです(笑)。

どれも飾らずに書いたリアルな気持ちなので、全部聴いてもらって初めて今の私が伝わるのかなと思います。

 


Q12. 最後の質問です。ハロウィン直前の10月30日には、〈YAGI〉とのコラボレーションでリリースパーティーも控えています。〈YAGIKYUN〉の見どころと、遊びに来る人へのおすすめの楽しみ方を教えて!

N²:まずはラインナップの幅広さに注目してほしいです! 初出演の方もいれば、LAから来てくれるアーティストもいて、本当にジャンルも世代もバラバラ。フライヤーはちょっと情報量が多いかもしれませんが(笑)、ぜひじっくりチェックしてみてください!

今回ならではの見どころは、〈YAGI〉と〈きゅんです〉のパフォーマー交換かな。普段はレイジくんの時間に出演する「YAGI YOYO TEAM」が私のセットに、私の時間に出演するSunny Bunnyとariseikatsuが、OKAMOTO REIJI、MANON、ececのB2Bタイムに登場します。このクロスオーバーも楽しみにしてほしいです。

今回は私のアルバムのリリースパーティーでもあるので、新曲を交えたDJとライブのハイブリッドセットを披露します。私の出番は深夜2:05から50分間なので、絶対に見逃さないで!



以上が〈きゅんです〉CEO・N²へのインタビュー全文。ギャルマインドなパブリックイメージとは対照的に、まっすぐで竹を割ったような人柄で各所から信頼を得てきた、ピュアな存在であることが改めて伝わってくる内容だった。『iDANCE2MUSIC』は、約7年のキャリアのなかで一夜一夜のフロアに実直に向き合ってきた彼女にとって、新たな門出となる作品なのだろうと思われる。

そんな1stアルバムのリリースパーティー〈YAGIKYUN HALLOWEEN PARTY 2026〉は、今週10月30日(金)にclubasiaで開催。オカモトレイジ(OKAMOTO'S)がキュレーションする〈YAGI〉と〈きゅんです〉がタッグを組み、全3フロアをジャックしてジャンルを横断するフリーキーなハロウィンパーティー。So-So、DNOPF、Sunny Bunny、ecec、RUI(f5ve)らがライブやDJで出演するほか、PUREM1NDによる〈YAGIKYUN〉限定Tシャツの販売も予定されている。ハロウィンにちなんだ仮装での来場も歓迎とのこと。

アルバムはもちろん、〈YAGIKYUN〉ならではのハジケたパーティー感にも期待!




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